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2022.05.11
出羽島散策
野口雨情「阿波の牟岐町南に向いて春を待たずに豆が咲く。」
JR牟岐駅そばに立つ石碑に詠まれています。
牟岐町の春は、年末一番に豆の花が咲く出羽島からやって来ます。
今回、牟岐町観光ボランティアガイドの会の会長庄野さんの案内で
出羽島連絡船大生丸に乗船し、出羽島へ。
甲板に立ち白い波しぶきを受けながら約15分。
港に降りると、白や紫の豆の花が出迎えてくれました。
いざ、出羽島散策スタート。
漁に使う船外機と 網をなおす漁師さん。
島にはミセ造りの家があります。
車は一台も走っていません。
そこで日常生活に欠かせないねこぐるまが活躍します。
ミセ造りとは・・・玄関横に取り付けた二枚の板戸を上げ下げできる仕組みの家のつくり。
ねこぐるまとは・・荷物を載せて運搬する木製の手押し車
軒下には、トコブシ・アワビ漁を終えた海女士さんの仕事着が干されています。
高台にある展望デッキから見る景色に圧巻。
何せいつもは牟岐港から出羽島が見えているのに今日は、
出羽島から牟岐の町並みが見えるのです。どこまでも広がる牟岐の海岸線は
こんな形をしていたのか、牟岐大島や津島が目の前にドーンと見えて壮大な景色。
また出羽島の家々の屋根も様々
新しい瓦もあれば昔からある瓦もあり、漁村の歴史を感じました。
まさしく太平洋の雄大な景色と集落が一望できるビューポイント。
段々畑には、様々な実のなる果樹が植樹されています。
鳥と共存しながら、島民のみなさんの水分補給ということもあって
万が一、災害対策にもなりえるという話を聞き
安政の時代に6mの津波が島を2日続けて襲ったという話を聞いた直後だけに
1本の実のなる木を植える事の大切さを実感しました。
そして、歩きながら色々考える。
大正3年、山村雪太郎氏が室戸から50キロ沖で鰹漁場“あわはえ‘’を発見し
過去には鰹節工場があり、島が盛り上がったこと。
最近では大好評の出羽島アート展、食事もできる波止の家、
移住者の受入と活気が戻りつつあり、また
島民が大事にしている生きた化石のシラタマモ
植樹された果樹、生き残った新種のテバジマスゲ
島で初めて見た植物アオノクマタケラン
明治初期に構築された石積みの防波堤
重要伝統的建造物群保存地区に認定された町並み。
島民の皆さんが大切に残しながら
昔と今が一緒になって
出羽島はやさしい時間につつまれます。
庄野さんと島を歩き
見るもの、聞くことが沢山あって
時間の都合で、燈台まで行けなかったのが残念でしたが、
野口雨情の碑が立つ大きな松の木の下で
庄野さんに出羽島ガイドをしているのはなぜですか?と伺うと
「牟岐が自慢です!」「たくさんの人に知ってほしい」と笑顔でひとこと。
‶自慢です!〟の言葉が耳に残りながら散策を終えました。
島はタイムスリップしたようなどこか懐かしく、
心がほっと温まる時間でした。
百聞は一見に如かず
みなさん、出羽島に遊びに来ませんか。
きさくなガイドさんと歩く出羽島ガイドウォークもやっています。
出羽島ガイドウォーク
波止の家