島のイベント
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2024.06.07
出羽島
お世話になっております。蛙企画の篠原匡です。こちらのウェブサイトで何回かご案内しておりますが、私たちは現在、出羽島の写真集を出版すべく制作を進めております。本日は、プロジェクトを立ち上げたそもそもの動機についてお伝えしたいと思います。
写真集プロジェクトの次の舞台を探すため、徳島県美波町の友人(株式会社あわえの吉田基晴氏)に教えられて出羽島を訪れたのは2021年の夏のこと。事前に出羽島についていろいろとリサーチしていましたが、島に賑わいはなく、重伝建の町並みも想像以上に傷んでいたことに、軽い衝撃を受けました。
私の父親の生家は長野県の山奥の小集落で、水が湧き、わさびが採れる、それは美しい集落でしたが、年々人が減り、集落の管理もままならない状況です。茅葺き屋根の建屋も、今では屋根が崩れ落ちて中から木が生えています。そんな田舎を訪れるたびに感じていた胸の痛みを、出羽島でも感じました。
私もジャーナリストとして日本中を取材していますので、離島や山間僻地の状況はもちろん知っています。出羽島のようなコミュニティはもはや当たり前で、20年、30年以上も前から地域住民や行政が悪戦苦闘してきたことも知っています。その意味では、多くの日本人にとって出羽島は既知の存在です。 ただ、クラウドファンディングのウェブサイトでも書いている通り、場所には、そこで暮らした人々の記憶が幾重にも積み重なっています。そうした記憶を何らかの形で記録することはもちろん大切なことだと考えていますが、記録できないにしても、その場所に縁のある人が思い起こすことに意味があると感じています。
今回の写真集プロジェクトの目的は、一義的には出羽島に堆積している記憶を記録することにありますが、同時に、出羽島を抽象化することで、“それぞれの出羽島”を思い起こしてもえれば、という意図も込めています。
高齢化と人口減少に直面した日本において、コミュニティの縮小や消滅に抗うことは容易ではありません。地理的条件に恵まれない山間僻地はなおさらそうでしょう。ただ、私が出羽島を訪ねたときに原風景である長野の田舎を思い起こしたように、写真集を見てそれぞれの故郷を思い返したり、出羽島の過去と現在を感じることで日本の未来に思いを馳せたり、そういうきっかけになり得ると考えたのです。
改めてのお願いになりますが、現在、出版費用をまかなうためにクラウドファンディングを実施しています。目標金額に達しなければプロジェクトは仕切り直しになります。クラウドファンディングの〆切まであと2週間。まだまだ目標達成への道のりは長いですが、最後まで達成を目指して頑張っていきたいと思いますので、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
◎消えつつある離島の記憶を残したい!写真集制作プロジェクトhttps://readyfor.jp/projects/tebajima
蛙企画・篠原匡